新連載の3人目は第20回生の宮崎かおりさんです。
「縁は奇なり」ということばがありますが、宮崎さんとのご縁はまさに奇なるものでした。
私の中学時代の同級生が青年海外協力隊のコーディネーターとして南アフリカ共和国に赴任しているのですが、その彼から「一緒に働いてもらっている日本人のなかに稲毛高校の卒業生がいるんだけど…」というメールをもらったことから宮崎さんとのやりとりが始まりました。そのやりとりから、ブログでの連載をお願いしたのです。
ちなみに私も同窓会の役員も宮崎さんとはお目にかかったことはありません。電子メールだけのやりとりです。インターネットのおかげで国境を越えて、稲毛高校の同窓生たちと生の情報がやり取りできる…。すばらしいことだと思いませんか。
この連載は、南アフリカ共和国からの、文字通り、最新の、生の情報、ということになります。
今年は、ちょうどサッカー・ワールドカップが開催される予定です。
また今クリント・イーストウッド監督の『インビクタス 負けざる者たち』という、マンデラ大統領になった直後の南アフリカ共和国を描いた映画も公開中です(ぜひご覧ください!編集長・足澤が自信を持っておススメします!)。
なんとタイムリーな連載のスタートでしょうか。まさに「稲毛高校の同窓生は地球上のいたるところで活躍している」ということが実感できる好企画のはじまりです。
宮崎かおりさんの連載のタイトルは「サオボーナ!」にしました。ズールー語で「こんにちは」という意味だそうです。
連載が続き、いつの日か、稲毛高校に在籍している高校生や中学生から宮崎さんに質問コメントが寄せられる日がくることを、編集部一同、待っています。
それでは宮崎かおりさんの南アフリカ最新情報 第1回目「虹の国」をお読みください。

ご主人のムトゥトゥゼリさん、生後7か月のアヤンダ・一郎くんと
稲毛高校卒業生の皆さま
在校生の皆さま
ブログをご覧の皆さま
はじめまして。
私は2001年に国際教養科を卒業いたしました。現在は南アフリカのヨハネスブルグに住んでいます。
何をしているかと申しますと、現地のツアー会社に勤めており、ヨハネスブルグにあるOR Tambo(オー・アール タンボ)国際空港で毎日海外からのお客様のアテンドをしています。
このブログを通して、今年開催されるFIFAワールドカップ南アフリカ大会のことや、南アフリカに関しての情報をお伝えしていきたいと思います。
第1回目のテーマは“虹の国”です。
南アフリカは俗に“レインボーネイション(虹の国)”と呼ばれることがあります。
アパルトヘイトと呼ばれる人種隔離政策が廃止された後、いろいろな人種、文化、民族、言語などがひとつになって南アフリカ共和国が誕生したということに由来しています。
肌の色も、民族衣装の色も、みんなカラフル。そんなカラフルな南アフリカについてひとつひとつ私がご紹介していきます。
南アフリカには11の公用語があります。
9つのアフリカ言語と、オランダ語から変形したアフリカーンス語と、英語とで、合計11言語になります。
11の言語のなかで主に使われるのが、黒人言語のズールー語、アフリカーンス語、英語の3言語です。
黒人同志で使われるのがズールー語。白人同志ではアフリカーンス語。様々な人種が一緒になると英語を使う、といったふうに使い分けています。
学生時代は「英語ができれば…」なんて思っていましたが、ここの国の人は2つの言語や3つの言語が使えるのは当たり前のこと。黒人ですと6言語以上の言葉がわかる人が大勢います。
空港で働いているせいか、よく
「言語はいくつしゃべれるの?」
と質問されます。その時に
「日本語と英語だけです」
と答えると、
「中国語は話せないの?」
と返されたり、
「他の言葉はしゃべれないの?」
などと訊かれたりします。
アフリカ人からすれば、中国人も韓国人も日本人も皆同じにみえます。
日本語と中国語の区別がつかないのは理解しますが、3年間も上に記したような質問をされ続けるとさすがに「いい加減にしてくれ」と言いたくなってしまいます……。
たくさんの言葉を話す彼らからしてみると、「隣の国の言葉がなんでわからないの?」という単純な考え方なのだと思います。
隣国のジンバブエやボツワナの言語は、南アフリカの黒人言語とところどころが一致しているので、「アジア人=中国人」の顔をした私がなんで中国語が話せないのか、彼らにとっては疑問なのでしょう。
今さら他の言語に挑戦する気分にはなれないですが、中国語を高校・大学時代に選択しておけば良かったかな、と思うことは多々あります。南アフリカでの私と中国人とのつながりはまた別の機会にとりあげます。
さて、南アフリカの国歌を見てみても“虹の国”であることがうかがえます。
国歌は1番から4番まであり、1番はコーサ語とズールー語による歌詞で、2番はスゥトゥ語、3番はアフリカーンス語、そして4番が英語による歌詞となっています。
この国歌は南アフリカ国民にとっても愛されています。式典や各種試合といった公式行事の際にはなくてはならないもので、国民は皆、誇りをもってこの国歌を斉唱します。
1997年に大統領令としてネルソン・マンデラが制定し、歴史的には新しい国歌ですが、民族の曲を編曲してつくられており、南アフリカの民族和解・協調政策を象徴するような国歌なのです。
この国歌は6月から開催されるFIFAワールドカップの開会式の際にも流れますから、ぜひ注目していてください。外国人の人たちにもぜひ歌えるようになってほしいと、国歌の歌詞カードをヨハネスブルグの空港で配布し始めた自治体の姿も見られます。もちろん、私も歌えますよv
下にリンクを貼りましたので、皆さん、ぜひ一度聞いてみてください。
「南アフリカ国歌」 http://www.southafrica.info/about/history/anthem.htm
第1回目の記事で、最後に紹介するのは国旗です。
現在の南アフリカの国旗は1994年4月27日、アパルトヘイト撤廃後、初めての民主選挙が行われた後に定められました。
国旗の中に使われている色はさまざまな事柄の象徴です。整理してみましょう。
赤は「過去の対立の中で流された血」
青は「空と2つの海」
緑は「南アフリカで欠かせない農場と自然」
金は「南アフリカで産出される金に代表される天然資源」
黒は「南アフリカの黒人の国民」と「他のアフリカ諸国とのつながり」
白は「南アフリカの白人の国民」と「平和」
南アフリカ国旗は、紋章や模様が入っていない国旗の中で、唯一、6色のカラーを使用している国旗なのです。それゆえ「レインボーフラッグ」と呼ばれています。“虹の国”の“虹の旗”ということになります。
国歌同様に南アフリカ国民はこの国旗をとても愛していて、国旗をあしらったデザインのお土産はどこに行っても目にします。
日本の国を色で例えると何色でしょうか? 日の丸の「赤」でしょうか? サムライブルーの「青」でしょうか?
南アフリカを色で例えると…。
やはり1色で例えるのは無理がありますね。
いろんな人種・言語が存在する南アフリカは日本とはまた違う魅力にあふれる国です。
みなさんにもぜひ興味を持っていただきたいです☆
それでは また次回まで。サラガーシェ(ズールー語でさよならstay well)
編集部より
宮崎かおりさんに訊いてみたい南アフリカ共和国に関する質問を受け付けます。
匿名でも構いません。コメント欄にお書き込みください。